今月8日の梅雨明け以降、猛暑が続く九州。東日本大震災後、3度目の「節電の夏」だが、25日はピーク時の電力使用量が1540万キロワットで昨夏の最高値(1521万キロワット)を超え、家庭や企業の節電意識も暑さに太刀打ちできない状況が露呈した。さらに電力需給の推移をつぶさにみると、脱原発派が過大な期待をかける太陽光発電の限界が浮かび上がる。(小路克明)
玄海原発(佐賀県玄海町)、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が依然として稼働しない今夏、九州電力は最大供給力を1661万キロワットと計画する。対する需要は平成22年なみの猛暑となった場合で1610万キロワットと想定した。
節電について政府や九電は数値目標を設定しなかったものの、節電の意識が定着したとして、昨夏の8割に当たる130万キロワット程度の節電効果があると見込む。
だが、電力使用量はあっさり昨夏の最高実績を上回った。九電管内では最高気温が1度上がれば50万キロワット需要が増える。特に高温が3日以上続いた場合、暑さに耐えきれずに冷房需要が急増するという。
気象庁によると福岡市の最高気温は、23日37・3度▽24日36・1度▽25日36・1度と猛暑日が続き、使用量を押し上げた。天候で上下する電力需要が、九電の想定内に収まる保証はどこにもない。