「国民の共有財産」
東電が公開を拒み続け、貴重な記録が失われるとの懸念も広がっている。
原発事故をめぐる東電株主代表訴訟の株主側は6月29日、「国民全体の共有財産だ」として、録音、録画記録の証拠保全を東京地裁に申し立てた。
株主側は、公開の可否が東電に委ねられている現状を「異常だ」と指摘。政府と国会の事故調査が終了した後に「東電が責任回避のため記録を消去する危険性が大きい」と危惧している。
映像に登場する菅氏も公開を強く要求している。国会事故調の官邸対応などの評価が「私の理解と異なる」と反論する菅氏は「事実関係を明らかにするため、東電のテレビ会議など客観記録の公開が不可欠だ」と強調している。
これに対し東電新社長に就任した広瀬直己氏は6月28日の会見で、「(公開の)リクエストが強いのは理解している。まず見て、プライバシーの問題がどの程度か判断したい」と述べた。
東電の情報公開は複数の事故調でも批判され続けてきた。批判を真摯(しんし)に受け止め、事故の真相解明に向き合えるか、新生東電の姿勢が問われている。