米軍シリア攻撃 日本企業、原油上昇と円高警戒 地政学リスクを注視 (2/2ページ)

2017.4.8 06:00

シリアへのミサイル攻撃について声明を発表するトランプ米大統領(AP)
シリアへのミサイル攻撃について声明を発表するトランプ米大統領(AP)【拡大】

 石油元売り最大手のJXTGエネルギーは「短期的に原油調達に影響はない」としているが、原油価格の上昇が続けば、ガソリンや化学製品の価格も上がり、物流費や原材料費の両面でコストの圧迫要因になる。ガソリン高が継続すれば、消費者が節約志向を強めて、モノが売れなくなり、企業業績を下押ししかねない。

 輸出企業にとって急速な円高も気がかりだ。1ドル=1円の円高が進むと、年間営業利益に対してトヨタ自動車で400億円、日産自動車で140億円の減益要因になるからだ。日産の志賀俊之副会長は「“有事の円高”になれば、自動車など輸出産業に影響が大きくなる」との認識を示した。

 地政学リスクの高まりに伴う、産油国周辺の経済の混乱にも警戒感が広がる。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、イラクやカタールなど中東15カ国への日系企業の進出数は2015年10月時点で756社に上る。トヨタの中近東地域での販売台数は約60万台と世界販売の約6%を占め、日立製作所も中東地域での売り上げが1000億円前後と連結売上高の1%程度。報復なども含め、局所的な混乱が他の地域に飛び火すれば、各社の輸出や販売戦略に影響が及ぶ懸念もある。

 株安も消費に悪影響

 株安が進むことによる国内の個人消費への影響も見逃せない。株安になると保有する資産が目減りするだけに、“逆資産効果”で高額品の売り上げに影響が出る恐れがある。高島屋の木本茂社長は7日の決算会見で「(経済には)心理的な部分でマイナスに働く」と述べ、消費にとって逆風になるとの認識を示した。(ワシントン 加納宏幸、今井裕治)

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