2017.4.8 06:00
シリアへのミサイル攻撃について声明を発表するトランプ米大統領(AP)【拡大】
トランプ米大統領は6日、猛毒サリンなど化学兵器使用が疑われるシリアのアサド大統領への対抗措置として同政権軍の空軍基地に対する軍事攻撃を命じた。米東部時間6日午後8時40分(現地時間7日午前3時40分)、地中海に展開する米海軍駆逐艦2隻が巡航ミサイル59発を発射し、シリア中部ホムス県のシャイラト空軍基地を攻撃。同基地は化学兵器による空爆で使われたとみられている。
米国はシリアで過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を展開しているが、アサド政権を対象にした直接攻撃は2011年にシリア内戦が始まって以降、初めて。
米軍によるシリア攻撃を受け、中東情勢の先行きに日系企業は警戒感を強めている。供給に支障を来しかねないとして原油価格は上昇に転じ、安全資産とされる円も買われ、一時1ドル=110円台前半まで円高が進展した。原油価格上昇と円高は企業業績の圧迫要因になる。地政学リスクの高まりで株安が続けば、国内の個人消費にも影響が及ぶ恐れもあり、経済界は成り行きを注視する。
コスト圧迫要因に
シリアは日本からの渡航が禁止され、日系企業の進出もなく、直接的な影響は限定的。しかし、地政学リスクの高まりに伴う原油価格の変動などの影響は避けられない情勢にある。経団連の榊原定征会長は7日、記者団に対し「一番の懸念は原油の供給と価格への影響だ」と述べた。
7日の東証株価指数(TOPIX)では業種別株価指数で一時「空運」が下落率トップとなった。航行上の安全への懸念に加え、燃料上昇による業績悪化が嫌気されたため。日本航空の大西賢会長は7日、「観光を含め、人の行き来が縮小するのを心配している」と先行きに懸念を示した。