大半は今も手つかず
アザデガン油田の開発をめぐりINPEXがイラン側と合意したのは2004年。資源を海外に頼る日本にとって重要な権益だったが、核兵器開発疑惑で制裁圧力を強める米国への配慮で10年に撤退を迫られた。
その後、日本が引いた間隙を突き中国石油天然ガス集団(CNPC)が参入したものの、イラン石油省は「開発の遅れ」を理由に、14年に契約解除を発表した。中東最大級のアザデガン油田は今でも大半が未開発とみられ、核合意を契機にした今回の再交渉は雪辱を果たす絶好の機会となる。
一方、油ガス田開発への参入は、イランの核開発制限と引き換えに国際社会が制裁を解除することが前提だ。しかし、トランプ氏は米大統領選で合意破棄を公約しており、制裁解除が想定通りに進むか懸念が強まっている。
対イラン投資の加速を決断する前に、「トランプ外交の方向性を見極める必要がある」(貿易筋)と慎重な見方も出ている。