2017.1.4 08:33
【ワシントン=小雲規生】米自動車大手フォード・モーターは3日、メキシコでの新工場建設計画を撤回すると発表した。フォードはこの計画について、トランプ次期米大統領から雇用を米国外に流出させるものだと批判されてきただけに、計画撤回はトランプ氏の影響力の大きさを示すものとみられている。
フォードは新工場で見込まれていた小型車の生産は、既存の工場の生産能力をフル活用することで補うとしている。またミシガン州の既存工場に自動運転や電気自動車の開発拠点を作り、700人の雇用を生み出すことも発表した。
フィールズ最高経営責任者(CEO)は3日の記者会見で「高報酬の仕事と利益の出る事業のために労働組合とともに働けることを誇りに思う」と強調。さらに決断の背景に「トランプ氏と議会が表明している企業活動重視の政策」への期待があることも明かした。
トランプ氏は3日、ツイッターで計画撤回はトランプ氏の圧力の結果だとする報道を引用するとともに、「米国は技術革新と雇用創出を引きつける最高の拠点となる」と投稿。自らの存在がフォードの方向転換を実現させたとの見方をアピールした。
また計画撤回の発表直前の投稿では、同じ自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)がメキシコで生産した車を関税をかけられることなく米国に輸出していると指摘。「米国で生産せよ。さもなくば高い関税を払え!」として、GMに対しても翻意を迫っている。