ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は10日、主力ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の映像表現を強化した改良版「PS4プロ」を発売した。任天堂も同日、約30年前に発売し大ヒットした家庭用ゲーム機ファミコンを手のひらサイズで復刻した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」を発売。最新鋭と懐かしのゲーム機の復刻版が、奇しくも同じ日に登場した。
PS4プロは、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kや、明るさの表現が豊かになるハイダイナミックレンジ(HDR)という機能を持つテレビに対応。一般的なテレビでも画像が切り替わるスピードが速くなるなど、画質が向上した。PS4につないで仮想現実を楽しめる端末「PSVR」でも、「プロ」との接続で表現力が上がる。価格は4万8578円。
復刻版ファミコンは“実物”と比べて約60%に小型化し、ファミコンが発売された1983年から93年までに発売されたソフト30作品を内蔵。「スーパーマリオブラザーズ」や「パックマン」などの人気ゲームが含まれる。価格は6458円。
ゲーム雑誌「ファミ通」を発行するカドカワの浜村弘一取締役は、「両社はユーザーコミュニティの維持・活性化を競っている」と、新旧のゲーム機が同時期に登場したのは偶然ではないと指摘する。PSは4世代目だが、これまでは代替わりの際に利用者が他のゲーム機に流れるリスクがあり、バージョンアップを繰り返す戦略に転換したとの見立てだ。来月、「スーパーマリオラン」でスマートフォン向けゲームに本格参入する任天堂も、復刻版の投入によってIP(知的財産)をさらに浸透させ、ファン層の拡大・強化を狙っているとみられる。