「死の谷」一足飛びに乗り越えて メイド・イン・ジャパン、創薬に挑む武田薬品 (1/4ページ)

2016.1.2 07:00

武田薬品工業湘南研究所内に設けられた京大iPS研との共同研究ラボ

武田薬品工業湘南研究所内に設けられた京大iPS研との共同研究ラボ【拡大】

  • 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長(左から2人目)と武田薬品のクリストフ・ウェバー社長(左)=15日、神奈川県藤沢市(寺河内美奈撮影)
  • 会見に臨む京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長(右)と武田薬品のクリストフ・ウェバー社長=神奈川県藤沢市(寺河内美奈撮影)
  • 共同研究の開始を発表した京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授(左)と武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長=神奈川県藤沢市
  • 京大iPS研と共同研究を進める武田薬品の湘南研究所(神奈川県藤沢市)

 「死の谷」と呼ばれてきた日本の製薬業界の悪習を武田薬品工業が変える。「死の谷」とは、大学の優れた新発見を製品化できずに腐らせてしまう制度的問題を意味する。武田は人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ったがんや糖尿病などの再生医療の実現に向け、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授が率いる京都大iPS細胞研究所のスタッフらを抱え込んだ研究機関を神奈川県に設置。創薬で欧米勢が圧倒的な強みを持つ中、アカデミズムと企業の垣根を壊し、「メイド・イン・ジャパン」の再生医療の確立を目指す。(阿部佐知子)

 同じ釜の飯を喰う

 武田と京大iPS細胞研究所は平成27年12月15日、武田の湘南研究所(神奈川県藤沢市)で、がんや糖尿病、心不全など6つの疾患でiPS細胞を使った新薬開発や再生医療の研究をスタートしたと発表した。

 「大学で論文は書けるが、患者に(研究成果が)届かない。研究者が(製薬)企業に入ることで、臨床応用という世界に飛び込んでいくすばらしい舞台だ」

従来の産学連携は、製薬会社の社員が大学に出向して…

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