【早坂礼子の経済ウオッチング】アンテナショップ隆盛(3)
日本独自の業態
「アンテナショップ?パラボラアンテナを売っているのですか」。
アンテナショップの振興を担当している一般財団法人・地域活性化センターの広報室長、畠田千鶴さんは訪日外国人からこんな質問を良く受ける。「アンテナショップ」という言葉自体は和製英語で、地方自治体が東京都内で特産品などを販売する業態も日本独自のものだ。外国人の認知度は低い。
同センターは外国人を対象にアンテナショップの視察やセミナーを開いている。米国、カナダ、オーストラリアにフィリピン、マレーシア、韓国など多くの国から志を持った人達が勉強に来るが、セミナーの成果を生かして、日本と同じようなアンテナショップができたケースはほとんどない。事業化調査まではいくのだが、実現は難しいようだ。
「もともとの流通・販売ルートをアンテナショップ向けに組み直す作業が必要になるので、海外で実地するにはハードルが高いのではないか」と畠田さんは話す。アンテナショップは、複雑な物販ルートを再構築するノウハウを持ち、生鮮品を決められた日時に産地から直送できる宅配便が発達した日本で培われた“クール・ジャパン”のひとつなのかもしれない。