2015.6.22 05:00
気象衛星の画像データを確認する山本社長【拡大】
天候により発電量が大きく左右される太陽光発電ビジネス。その強い助っ人として注目を集めているベンチャー企業がある。気象衛星からの観測データを基に日本各地の日射量をきめ細かく予測、翌日の発電量のシミュレーション結果を顧客に提供するのがサービスの中身。日本各地で大規模太陽光発電所(メガソーラー)が増え、来年には電力小売りの全面自由化を控える中、新電力会社(PPS)からの引き合いは強まる一方だ。
◆手つかずの領域に挑む
東京・晴海のベイサイドにそびえるタワーマンション。その一室にオフィスを置くのが、たった一人で運営するベンチャー企業、アリョールだ。
山本喜昭社長(44)は「7月のひまわり8号打ち上げに期待している」と語る。地球を観測した画像データの更新間隔が、現行衛星「ひまわり7号」の30分おきから2分30秒おきへと短縮されるため、そのデータをシミュレーションに用いる発電量予測の精度が大幅に向上できるからだ。
大学で気象学を学んだ山本社長は、かつて気象情報会社に勤務し、予報部門とシステム開発部門のマネジメント業務を担当していた。
個人的に太陽光の将来性に注目していたところ、発電ビジネスの安定に役立つ気象データの分析や予測が「ビジネスとしてほぼ手つかずの領域だった」(同)ことに着目した。2007年に起業に踏み切り、現在の顧客はNTTグループやパナソニック系のPPSなど。新規の問い合わせも多く寄せられ、多忙な毎日を送っている。