2015.6.22 05:00
クラウドファンディングの周辺サービスに乗り出す金子智慧美氏【拡大】
アジア開発銀行(ADB)を昨年退職した金子智慧美氏が立ち上げたソーシャルファイナンス研究所(東京都目黒区、クラウドファンディング・ラボラトリ)は、ベンチャー企業などへの資金調達を支援するクラウドファンディングサービス(CF)に乗り出す方針を明らかにした。手始めに、金融のプロの目線で、資金調達に関するコンサルティングや情報発信、セミナー、教育機関での講義や研修など周辺サービスを提供する。
「資金調達とは何か、という原点に立ち返り、地に足の着いた金融を目指したい」。金子氏は、起業の動機をこう話す。
外資系金融機関で欧米の先進的な金融手法を身につけた後、ADBに転身し、地域経済統合室や東南アジア局に所属。東南アジア諸国連合(ASEAN)やASEAN+3をはじめとする資本市場の統合や、域内の金融市場の協力などの分野を担当したほか、国を超えての資金調達も専門分野だった。
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が登場するなど、世界経済の目が新興国のインフラ投資など国際金融分野に注がれる中で、金子氏は「金融とは、金が流れにくいところにどう持続可能な手段で金を流していくかが重要だ」との考えで、次の活躍の舞台としてベンチャー企業などに対するクラウドファンディングを選んだ。
「クラウドファンディングは元々は米国から生まれ、数年前に日本に来たものだが、この資金調達の考え方は大昔の日本にもあった」と金子氏はいう。神社や仏閣の改装に寄進・寄贈する仕組みは、利益を伴わなくても社会的に意義のあることに出資する意味があるという文化があった。金子氏が「クラウドファンディングは日本に根付く可能性は高い」と判断する理由はここにある。