平成26年のビール類課税出荷の各社別シェアは、アサヒビールが38・2%(前年比0・6ポイント増)となり、5年連続で首位だった。キリンビールが1・6ポイント減の33・2%▽サントリービールが0・7ポイント増の15・4%▽サッポロビールが0・3ポイント増の12・3%▽オリオンは横ばいの0・9%-となり、キリンの“一人負け”が鮮明となった。
キリンの不振は、昨年5~7月の販売低迷が原因だ。サッカー日本代表のスポンサーとしてW杯キャンペーンを軸に、消費税率引き上げ後の消費減速をカバーする戦略だったが、不発に終わった。
この間他社は、一定数量を購入すると必ず景品がもらえるキャンペーンなど、増税後の影響を最小限にする取り組みを展開しており、販売施策の差が顕著にシェアを左右した形だ。
苦戦するキリンは、昨年秋から、特定の領域や商品で成果を上げる「スモールサクセス」戦略を進める。主力ビール「一番搾り」の販売は増加に転じたほか、プリン体や糖質を含まないゼロゼロ発泡酒で首位になるなどの成果があるという。今後、他社に勝てる領域を迅速に増やすことがシェア奪回の鍵だ。