2015.1.8 21:57
7日、商品への異物混入で会見する、日本マクドナルドホールディングスの青木岳彦上席執行役員(右)と日本マクドナルドの菱沼秀仁上席執行役員=東京都内のホテル【拡大】
日本マクドナルドのチキンナゲットへのビニール片混入など相次ぐ食品への異物混入問題を受け、外食、メーカー、小売りなど食品を取り扱う各社が、混入事実の情報開示や自主回収の基準引き下げを検討している。これまで自社で基準を設け対応してきたが、一連の問題ではインターネットなどで消費者が公表する場合も多く、会社基準を理由にした非開示が「不都合な情報を隠している」と受けとられる懸念が強まっているからだ。ただ、どこまで基準を引き下げるべきかの明確な指針はなく、各社は試行錯誤を迫られている。
食品メーカーなどでは、異物混入が発生し、お客さま相談室などに通告が入ると、品質管理部門や経営幹部に事態を報告する。ただ、その事実を開示するかは、混入の原因が会社側にあると明確な場合や、健康被害が広がる懸念があるケースなど、細かく基準を決めている。
事実、日本マクドナルドの7日の記者会見で4件の異物混入が説明されたが、同社の基準では開示する事案ではなかったという。だが、報道によって問題が大きくなる中で、同社としても開示を余儀なくされた。
さらに、アサヒグループホールディングス(アサヒGHD)は8日、子会社のベビーフード大手の和光堂(東京)の離乳食にコオロギが混入していた問題で、ホームページなどに謝罪や事態の推移などを掲載すると同時に、自主回収を表明した。ただ、混入経路などは不明なままだ。担当者によれば「今までの基準ならば開示や自主回収はしないが、すでに報道されている以上、会社として対応が必要になった」と説明する。
こういった流れは、今後各社に波及しそうだ。ある流通大手の幹部は「原因がどこにあるのかわからないままでの自主回収など、過敏な対応は避けたいが、消費者の反応を考えると、いたしかたない面がある」と語り、今後、開示基準のあり方の検討に入る考えを示した。食の安全の問題は、消費者にとって切実な問題だけに、企業にとっては大きな経営課題であることは間違いない。