砂に水をかけると、通常は砂粒の隙間を通って染み込んでいく。これに対し撥水砂は砂表面の撥水力に、水の表面張力が加わって浸透を防ぐ。一方で、隙間自体は空いているため、酸素などの気体は通すという。
撥水砂の効果が最も発揮されそうなのが、乾燥した土地での農業だ。
乾燥地帯では、塩分を多く含んだ地下水が吸い上げられ、地表に届くため、植物が枯れやすくなる。そこで、地中に撥水砂の層を作ってやれば、雨水を長期間保持できるうえ、塩害にもさらされずに済む。保水シートを敷く場合と違い、通気性は維持されるため、植物の呼吸を妨げることもない。
撥水砂の基本技術は以前からあり、製品に採用した実績もある。同社は1994年に発売したIHジャー炊飯器で、内蓋の汚れ防止用に初めて採用。内蓋を特殊な液体に浸すことで表面をコーティングし、汚れにくくした。オーブントースターやオーブンレンジのガラス扉にも用いられたことがある。