日本一の超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)が全面開業し、7日で半年。展望台やホテルは連日多くの人でにぎわう一方、中核施設の近鉄百貨店本店で不振が続き、全体の来館者数は目標を下回っている。周辺施設を訪れる人も増えたが、波及効果は限定的。ハルカスを運営する近畿日本鉄道は訪日外国人客の取り込み強化などで巻き返しを図るものの、当初期待された阿倍野・天王寺地区活性化の牽引(けんいん)役になれるかは不透明だ。
近鉄百貨店、伸びない来店客と売上高
近鉄はハルカスの年間来館者数を4740万人と見込む。1日平均で約13万人を呼び込む計算で、全面開業した3月7日から同月末まで1日平均約14万人の来館があったが、8月31日までに訪れたのは累計約2220万人と、1日平均約12万4千人にとどまった。
展望台やホテルは順調ながら、近鉄百貨店の来店客数が思うように伸びていないのが主因だ。集客の目玉である若い女性向け専門店街「ソラハ」の不振が響き、百貨店は平成27年2月期の売上高予想を当初より280億円引き下げた1170億円にして、売り場の改修など早くもてこ入れに乗り出す事態となった。
ハルカスに約1300億円もの巨費を投じた近鉄に「失敗は許されない」(同社幹部)ため、百貨店の免税対応を充実させるなど、訪日客取り込みを強化。ホテル宿泊者らにも百貨店の割引券を配るなど各施設で連携し、巻き返しを図る。