三菱ケミカルホールディングス(HD)は13日、産業ガス大手の大陽日酸を買収すると発表した。11月上旬に株式公開買い付け(TOB)を始め、51%を上限に大陽日酸株を取得、年内に子会社化する。買収額は約1072億円。三菱ケミカルHDは大陽日酸の上場を維持したまま、三菱化学や田辺三菱製薬などに続く6番目の事業会社と位置づけ、海外でシェールガスなどの化学製品の生産に必要な産業ガスの供給事業に乗り出す。
大陽日酸が供給する産業用ガスの窒素は、シェールガスからエチレンなどの化学品を取り出す際に使われる。三菱ケミカルが米ダウ・ケミカルと共同で米国に建設を予定する化学工場などに、大陽日酸が窒素を供給することでコスト削減を図る。また両社の販路を活用し産業ガスや化学製品を拡販する。
三菱ケミカルが注力するヘルスケア分野でも、大陽日酸が持つ医療ガス技術を活用。一連の協業で、2020年までに50億円以上の相乗効果を目指す。
13日に会見した三菱ケミカルHDの小林喜光社長は「大陽日酸は医療用ガスでも高い技術を持っている。当社とは極めて相性がいい」と強調。「うまくシナジーを出せば、大きな新しい展開ができる」と述べた。