株式相場の軟調のあおりを受け、2月のネット証券大手5社の売買代金が急減した。新興国経済の先行き懸念などから、個人の投資家心理が悪化していたことが裏付けられた格好だ。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による市場の活況を背景に、証券各社が手数料収入を増やし、業績を改善させてきたが、今後もさえない株価が続けば、好調な各社の業績に水を差しかねない。
マネックス証券の2月の売買代金は、前月比26%減の1兆3506億円となった。これは、安倍政権が発足した2012年12月(9752億円)以来、14カ月ぶりの低水準となった。カブドットコム証券は前月比16%減の2兆15億円。同社が公表している1日当たりの委託手数料収入についても、前年同月比15%減の3800万円となった。SBI証券(15%減)、楽天証券(18%減)、松井証券(12%減)も前月を下回り、大手5社すべてが1割超の減少となった。
2月は、新興国経済への懸念が強まり、寒波の影響などで米国の経済指標も悪化。少額投資非課税制度(NISA)の開始で堅調だった個人の買いも鈍り、様子見姿勢が強まったようだ。足元ではウクライナ情勢に対する不安感も後退しているが、市場では「4月の消費税増税の影響を見極めたいという投資家が多い」(大手証券)との指摘もある。