「ものづくり」に携わる民間企業では、3Dプリンターの導入が加速している。大手企業では自社製品の試作品作製に3Dプリンターの活用が進む。こうした中、富士通などは、中堅・中小企業向けに3Dプリンターを使ったものづくりを指南する支援サービスに乗り出すなど、ビジネスは広がりを見せている。
パナソニックは、音響・映像関連の製品を担当する社内分社「AVCネットワークス社」で、2001年から3Dプリンターを導入し、ものづくり改革に取り組んでいる。
オバマ米大統領の演説などで、3Dプリンターが話題になった直後は「社内から200~300人が見学に押し寄せた」(生産技術センターの井ノ上裕人グループマネジャー)という。
最近では、身につけたままで動画が撮影できる「ウエアラブルカメラ」の試作品開発で、3Dプリンターが威力を発揮した。「試作段階でデザイン性や掛け心地、重心の位置などを調整しなければならず、30回やり直した」(井ノ上氏)と言う。それでも従来の試作品作製に比べ、時間は90%、費用は80%削減できた。
「全く新しいジャンルの製品を開発する際、3Dプリンターは欠かせない」と井ノ上氏は言う。今後、金属や樹脂など、高い耐久性を持つ材料が開発されれば、実際の商品も3Dプリンターで生産することを検討している。