世界各国で地球温暖化防止に向けた取り組みが進む中、三菱重工業の「二酸化炭素(CO2)回収装置」が注目を集めている。ガスや石炭の火力発電プラントなどから出る排ガスのCO2を吸収するだけでなく、回収したCO2を再利用することで肥料の原料である尿素などの生産増につなげられるためだ。老朽化した油田にCO2を送り込んで原油を増産することも可能で、今後、米国や東南アジアなどで売り込みを図る考えだ。
少ないエネルギー消費量
「将来、地球温暖化が問題になると思って20年以上やってきて、ようやく花が開いた。世界トップの回収技術だ」
三菱重工業エンジニアリング本部長の西沢隆人常務執行役員は胸をはる。7月には日本産業機械工業会による「優秀環境装置表彰」で経済産業大臣賞に選ばれた。
同社のCO2回収装置は、関西電力と共同で開発した高性能の吸収液を用いるもので、他社の方式と比べてエネルギー消費量が少ない。1990年から研究をスタートし吸収液の減量や装置のコンパクト化なども進めてきた。