津賀一宏社長は「V字回復」を繰り返したが、復配時期などを明言できなかった。
株主からは業績回復の牽引(けんいん)役として期待される事業にも厳しい目が向けられた。
津賀社長は、テレビ事業依存からの脱却や、自動車関連事業などの成長ビジネスへの取り組みをアピールした。しかし、成長性に賛同する株主の姿はほとんどなく、業界でシェア1位を誇る航空機の娯楽・通信システム事業についても「他社に追い越される」(男性株主)と否定的な意見が目立った。
株主の不安が払拭されない背景には、業績改善の確実な将来像や覚悟が見えにくいことにある。市場からは「成長戦略を訴える割に中途半端な覚悟しか見えない」(証券アナリスト)との声が聞かれた。
「業績改善のために、不退転の覚悟で臨む」。津賀社長は総会で断言したが、株主の不満は大きく早期に結果を出すことが求められている。