カセットテープ技術活用
ボイスコイルから振動板の伝達経路が短くなり、音がスピーディーに伝わるようになった。さらに、ダンパーが出していた余分な音もなくなり、クリアな音を実現した。スピーカーの厚みは約3割スリム化。音を効率的に出せるようになったことで、消費電力は35%減らせるようになった。
薄型化が進むテレビの場合、スピーカーは背面や下向きにつくことが多く、音がこもってしまうのがネックだった。40型台までの画面サイズでは映像と音響のずれはそれほど気にならなかったが、4Kテレビ市場が立ち上がり、50型以上が増えると、映像に負けない音が求められるようになる。ソニーは磁性流体によりスピーカーを薄型化し、前面にスピーカーを配置するデザインを可能にした。
ソニーは1950年、世界で初めて磁気カセットテープを世に送り出した。その技術を生かして、スピーカーに最も適した磁性流体を研究し、金属粉の配合や粒子の大きさを工夫した。担当者は「磁性流体スピーカーは、ソニーの歴史を踏まえた技術だ」と胸を張る。磁性流体スピーカーは今年発売する製品のうち4Kテレビとコンポ、スピーカーなど計4モデルに搭載される。製品展開にも広がりが出てきた。(米沢文)