道路各社が技術の輸出に注力する理由は、国内の高速道路収入が少子高齢化による交通量の減少で落ち込むことが確実なためだ。高速道路の新規建設需要の減少も見込まれ、各社は海外展開の強化抜きに、収入確保や社内の技術伝承が難しくなっている。
韓国との競争に勝て
特に、経済成長が著しいベトナムやインドネシアなどではインフラ整備が急速に進められており、事業機会の拡大が見込める。東南アジア各国は最重要ターゲットだ。
ただ、韓国など海外勢との熾烈(しれつ)な競争にさらされる。独自の受注獲得への取り組みや、国内の同業他社で手を組み経営資源を集中させたのは、厳しい経営環境の証明にほかならない。
日本の高速道路会社は、急峻(きゅうしゅん)な地形を切り開くなどして高速道路ネットワークを拡大し、維持運営してきた高い技術力を誇る。東日本大震災では常磐自動車道をわずかな期間で修復し、世界を驚嘆させた実績もある。
安倍政権がインフラ輸出を重点政策の1つと位置づける中、日本が誇る高速道路技術の輸出の重要性は大きい。高速道路各社は、海外での足場づくりを急いでいる。(中村智隆)