高機能化することで鋼材の単価は上がったものの、1.2ギガパスカル級の超ハイテン材は同じ強度の鋼板に比べて板の厚さが45%も薄く、1台当たりの鋼材使用量が減った。さらに薄くても補強材を必要としないため、結果的にコストを削減できる。
ハイテン材は強度を上げると加工しにくくなる欠点があるが、新日鉄住金と神戸製鋼が金属組織を最適化した。一方で、日産は超ハイテン材に最適な金型やプレス成型技術を開発した。これにより、これまでの超ハイテン材では不可能とされていた高い加工性を確保できた。既存の生産ラインでそのまま成形できるのも大きなメリットだ。
全モデル展開へ
日産は、17年以降に発売する新型車への超ハイテン材使用比率を13年時点の9%から25%まで引き上げるとともに、車体重量を05年度比で15%軽量化する目標を掲げる。鈴木部長は「Q50では乗員を保護する車体上部に採用したが、今後は床など下部にも使いたい」と話す。