化学メーカー 医薬品関連頼み バランス欠く収益構造脱却急務

2013.3.6 08:00

三菱ケミカルHDの営業利益

三菱ケミカルHDの営業利益【拡大】

 化学メーカーの医薬品関連分野が収益源としての存在感を増している。本業の石油化学をはじめとする素材分野は新興国メーカーの台頭や世界経済の停滞などで採算が悪化、各社は市況や景気に左右されにくい医薬品関連分野を強化することで経営体質の改善を図っている。ただ同分野への依存度の高まりは、「1本柱がこけたら会社が終わってしまう」(三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長)リスクをはらむ。バランスを極端に欠いた収益構造からの脱却が急務といえそうだ。

 国内最大手の三菱ケミカルホールディングスは5日、2011年度から取り組んでいる中期経営計画について、最終年度となる15年度の売上高を当初の5兆円から4兆3000億円に、営業利益4000億円を2800億円にそれぞれ下方修正した。中東や中国で石化の大規模設備が新増設され、需給バランスが崩れたためだ。リチウムイオン電池材料など機能商品分野の新規事業も立ち上がりが遅れ、収益悪化に拍車をかけている。

 一方、抗リウマチ薬「レミケード」などの医薬品を展開するヘルスケア分野は好調だ。13年3月期の連結業績予想では、営業利益1000億円のうち77%に当たる770億円をヘルスケア分野が占める。中計を発表した10年度に47%だった素材分野はわずか3%の見通しだ。

 素材分野の不採算を医薬品関連分野がカバーする構図は他社も同じ。旭化成は2月、化学分野の不振から12年度の営業利益予想を960億円から900億円に下方修正したが、昨年11月に上方修正した医薬・医療分野の営業利益は据え置いた。住友化学も昨年、医薬品分野の営業利益見通しを270億円から330億円に上方修正。今年2月に同年度の営業利益見通しを650億円から500億円に下方修正した際も、医薬品分野の予想値は維持した。

 ただ化学メーカーにとって本業の収益拡大は不可欠だ。小林社長は5日の会見で「1本柱では支えきれない。3本の柱で安定的にやっていきたいという思いは強い」と吐露した。

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