米国でシェールガス革命が進む中で、日本の石油化学業界で三菱ケミカルホールディングス(HD)と住友化学の大手2社の戦略の違いが鮮明になってきた。
三菱ケミカルはシェールガスを活用した世界戦略を描くのに対し、業界2位の住友化学は海外に持つ大規模石化設備を生き残りの主軸とする方針だ。
世界的な競争激化によって基礎化学原料であるエチレンの国内設備縮小が相次ぐ中で、安価なシェールガスを原料とする石化製品が台頭すれば、国内メーカーのさらなる競争力強化は不可欠。両社の違いの背景は何か。
海外拠点を活用
「エチレン設備はシンボル。寂しいセンチメント(感情)はある」。今月1日、千葉工場(千葉県市原市)のエチレン製造設備を2015年9月までに停止すると発表した住友化学の十倉雅和社長は、記者会見でこう打ち明けた。これで同社はエチレンの国内生産から事実上、撤退することになる。