このため、相乗効果を急ぐ他の2社と、産業革新機構などからの多額の出資を受けて確実な再建への道筋を探るルネサスには温度差が生まれていた。
生産部門の切り離しも交渉難航の材料となっているようだ。世界の半導体メーカーは、巨額の設備投資が必要な生産部門を切り離し、外部の受託会社に生産を移管し設計・開発に特化する「ファブレス化」が主流。すでに富士通は主力の三重工場(三重県桑名市)について台湾の受託会社などと売却交渉を進めており、3月末までに工場売却を含めた再建策をまとめる。一方で、ルネサスも最先端の鶴岡工場(山形県鶴岡市)の譲渡先を模索しているが、進展していないとみられる。
鶴岡工場以外にも複数のLSI工場を抱えるルネサスが統合に合流するには「ファブレス化を掲げる(富士通、パナソニック)2社でくっつく方がうまくいくのは自明」(業界関係者)との声も挙がっており、3社による統合交渉は難航が予想される。