運輸大手2社が単身向けの引っ越しサービスを強化している。日本通運は「部屋の広さ」で料金を設定した商品を業界で初めて発売。ヤマトホールディングスは少なめの荷物の運搬を割安の料金で利用できる引っ越し商品を開発した。両社とも費用の見積もりにかかる手間を省くとともに、家財のレンタルなど単身赴任向けのサービス拡充などでしのぎを削っている。
日通が1日から提供を始めた近距離引っ越しサービス「ワンルームパックPLUS」は家財の重量ではなく、部屋面積を基準に料金を算出。30平方メートル超から40平方メートル以下の場合、基本料金は平日が最大3万9800円、土日や祝日は最大4万4800円に設定した。「わかりすい料金と、家財の重量の確認にかかる手間を省いた」(同社)のがセールスポイントだ。
ヤマト傘下のヤマトホームコンビニエンスは8月から、単身者向けサービスを強化した。運搬用ボックスの容量を標準タイプより一回り小さくし、同じタイプのサービスより料金を約1割引きにする新商品を販売。冷蔵庫やテレビなどの家財レンタルも提供し、利用者のニーズに応える。同社は単身向け引っ越し事業で2012年度は85億円の売上高を目指す。
日本能率協会の推計によると単身者の引っ越し需要は年間約800億円。業界では「家族帯同ではなく単身赴任で済むように、自宅から比較的近い地域への異動でコストを抑える動きが企業で強まっているほか、越境入学なども増える」(大手)として、需要は今後伸びるとみている。