マツダが業績回復のきっかけをつかめないでいる。円高に翻弄(ほんろう)され、平成24年3月期決算は国内自動車メーカーとして唯一の赤字。赤字は4期連続で、株価は今月に入り48年ぶりに一時100円を割り込んだ。生き残りに向け、“虎の子”である低燃費技術「スカイアクティブ」の切り売りも余儀なくされており、先行きの展望は開けていない。
遅れる海外展開
「4期連続の赤字、2期連続の無配の経営責任をどう考えているのか」
4月27日、東京・青山のイベント会場で開かれたマツダの決算発表。円高の影響で苦戦したと笑顔を交えながら説明してきた山内孝会長兼社長だったが、記者からこう切り込まれると、表情は急にこわばった。
4期連続の赤字について、山内社長は「この期間はリーマン・ショック後の混乱期で、ゼネラル・モーターズ(GM)やクライスラーが破綻(はたん)する中、マツダは倒産せずに頑張った。やれることはやっている」と半ば開き直るように回答。だが、市場関係者の評価は散々で、決算発表を受け、「格付け方向は(格下げの可能性がある)ネガティブ」(SMBC日興証券金融経済調査部)、「金融危機で七難八苦」(中西孝樹・メリルリンチ日本証券リサーチアナリスト)などとマツダに対する視線は厳しさを増している。