【底流】アップル“下請け”不安 シャープ、鴻海提携もろ刃の剣 (3/3ページ)

2012.4.8 07:00

技術流出の二の舞い

 だが、自らも最終製品の薄型テレビを手がけるシャープにとって、EMSと手を組むことは、“もろ刃の剣”だ。

 技術流出の懸念について、4月1日に就任した奥田隆司社長は「設計はシャープ本体でやる。特許もわれわれが保有するので、心配ない」と一蹴する。

 だが、16年にサムスンと液晶パネルの合弁を立ち上げ、今年1月に解消したソニーの関係者は、「技術者の交流などを通じ、かなりの技術が流れた。二の舞いとなる不安は拭えない」と警告する。

 シャープはすでにアップルにiPhone向けの液晶パネルを供給している。依存度をさらに高めれば、アップル製品の売り上げに業績が左右されるリスクも高まる。

 それどころか、イグゾー・パネルをアップルに供給することで、「太刀打ち不可能な“モンスター”を自ら育てることになりかねない」(業界関係者)。

 奥田社長は、「単独の垂直統合モデルに限界があった」とし、基幹部品から最終製品までを一貫生産する“自前主義”からの脱却を強調する。

 だが、シャープを含む日本の電機メーカーの苦境は、ビジネスモデルだけの問題ではない。奥田社長が「シャープに足りないのはマーケティング」と認めるように、売れる商品を生み出せなくなったことが最大の原因だ。

 シャープが22年末に売り出したタブレット型端末「ガラパゴス」は、ヒットにほど遠く、わずか10カ月で量販店などでの直接販売を終了するなど軌道修正を余儀なくされた。

 モノ作りの力を取り戻さない限り、本当の復活は見えてこない。(田端素央)


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