業績不振にあえぐシャープが、電子機器受託製造サービス(EMS)で世界トップの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携する。鴻海の背後には、最大の受託元である米アップルが控える。シャープにとって、稼働率が低下している液晶パネルを鴻海を通じてアップルに大量供給できれば、業績立て直しの切り札となる。一方で鴻海への技術流出に加え、アップルと一蓮托生の“下請け”になりかねないリスクもはらんでいる。
秘密兵器IGZO
「シャープが持つ超高精細の液晶パネル技術『IGZO(イグゾー)』こそが、鴻海の最大の狙いだ」。証券アナリストは、こう推察する。
イグゾーと呼ばれる「酸化物半導体」をパネルの制御に使えば、解像度が飛躍的に高まり、省エネ性能も大幅に向上する。シャープは亀山第2工場(三重県亀山市)で、イグゾーを使ったタブレット型端末向け中小型パネルの量産を準備中だ。さらに主力の堺工場(堺市)では、イグゾーのテレビ向け大型パネルを生産できるようラインの改造を進めているという。
鴻海、シャープの視線の先には、アップルが開発中とされる「アップル・テレビ」がある。