【スポーツ経営放談】球場での声援こそ球団支える (1/4ページ)

2010.11.22 05:00

 プロ野球の広島カープがフリーエージェント(FA)選手の獲得に乗り出した。カープの動きは1993年のFA制度導入以来初めてのこと。広島市民も驚いているようだ。

 先週、広島のラジオ局の電話インタビューに「球団は経営方針を転換したと思う。方針変更には理由がある」と応えた。

 70年代後半から80年代前半にかけて、「赤ヘル軍団」が日本中の野球ファンを沸かせたことを忘れさせるかの如(ごと)く、カープは12年もの長い間、Bクラスに甘んじている。その間、成績同様、観客動員も低迷した。

戦力強化の必要性

 2004年の球界騒動の時、広島のテレビ局に出演した。多数の市民が参加する番組だったが、「球場が市の中心地にあるのにカープはなぜ観客が少ないのか」もテーマの一つだった。その時、市民は、カープが「チーム弱体→観客動員力低下→収入減少→FA選手流出→戦力低下→優勝争い脱落→観客減少→収入減少→戦力低下」を繰り返してきたと残念がった。あきらめもあった。

 では、今年のシーズンオフ、何がカープを変えたか? 「新球場効果と戦力強化の必要性」が筆者の答えだ。