「ノーベル賞級の研究者が愛想をつかす国」から脱却 日本経済の鍵握るディープテック開拓に政府が本腰

「眠れる技術」の掘り起こしが日本の喫緊の課題だ(画像はイメージです/GettyImages)
「眠れる技術」の掘り起こしが日本の喫緊の課題だ(画像はイメージです/GettyImages)

9月に発表になったノーベル物理学賞を、日本出身で米国籍の研究者・真鍋淑郎さんが受賞しましたが、「米国籍」になっているという点に注目が集まりました。そして、真鍋氏は米国籍を選んだ理由としてやんわりと「同調圧力」と「潤沢な予算」を挙げました。わかりやすく言うと、日本では「前例のない独自の研究に対して、予算をつけてもらえない」ということです。

ノーベル賞になるような画期的な研究には2つの投資リスクが存在します。

  • そもそも失敗に終わる可能性
  • たとえ成功しても投資回収するような用途がない可能性

というものです。よって、かなり資金的に余裕がなければ投資が難しいのです。

昨今、大学での研究資金が乏しいと言われているので、今後ノーベル賞を取れるような研究はますます減ってくるのではないかと問題視されています。

ノーベル賞というとちょっと縁遠い学問の話かと考える人もいるかもしれませんが、この傾向はまさに日本のベンチャービジネスにおいて同様に危惧されています。

ディープテックに注目が集まるワケ

それは、ディープテック(Deep Tech)、つまり非常に高度な科学技術で、大きな問題解決につながるようなテクノロジーについてです。

SDGsの観点から大きな社会問題をドラスティックに解決するのに役立つような研究が求められていますが、このようなものはまさに失敗と隣り合わせであり、製品化と資金回収も未知数です。この分野における日本のスタートアップは、資金集めに苦労しています。そして能力のあるノーベル賞級の人材はアメリカと中国にどんどん移籍しています。

ノーベル賞と同様に、製品化、雇用の創出という研究の成果を日本人が享受できる機会も減ってくるのでしょう。科学者個人の根性、責任感や使命感ではディープテックの研究を大きく進めることはできないのです。

政府や東大がついに動き出した

このような状況の中で最近2つの良いニュースが気になりました。

1つ目は、この8月から経産省の主導により「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」が一部施行されたというものです。

重要な内容としては、経産省から認定を受けたディープテック関連の事業計画に対しては、50億円までの融資の半分を中小企業基盤整備機構が債務保証してくれるというものがあります。銀行が融資の決断をしやすくなることが期待されます。ヨーロッパなど諸外国では政府など公的な補助をしているのが主流となっていますので、その流れに乗り遅れまいとの動きでしょう。

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