SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第116回は欧州系航空会社乗務16年目の鶴﨑八千代がお送りいたします。
現在、日本の一般企業の定年は65歳です。これは2013年に、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により60歳から引き上げられたためです。ではエアライン業界、とくに客室乗務員は何歳まで働くことができると思いますか?
客室乗務員という仕事は勤務時間も不規則で家を空けることも多くあります。多くの女性にとって客室乗務員は、子育てと両立するのさえ難しい仕事かもしれません。
ただ最近では、さまざまな職種で働き方が見直されるようになってきました。エアライン業界においても、CAママとして乗務するワーキングマザーが当たり前になってきました。特に外資系エアライン、なかでも欧州系のエアラインでは、CAママが子育てをしながら働きやすい労働条件を提供しており、私のように継続年数の長いCAが多い印象です。
勤続年数が長い人が多い欧州系エアラインでは、アラフィフの私より上の世代の方でも、定年まで勤め上げる素敵な先輩も多いです。今回は「CAの定年は何歳? 乗務っていつまでできるの?」そんなテーマで書いてみたいと思います。
1998年、25歳で受けた衝撃!
不況の影響でリストラに遭いながらも、再就職で私がエアライン業界に足を踏み入れたのが1998年、25歳のときでした。職を失い、当初は途方に暮れていましたが、4000人応募の難関に突破して、米ノースウェスト航空(現デルタ航空)に、機内通訳として採用されたのです。人生のどん底から、毎週のように太平洋路線、ニューヨーク、ハワイなどを往復する夢のような生活が始まりました。
当時乗務した国際線での出会いが忘れられません。そのフライトは国際路線ということで、同乗したアメリカ人の客室乗務員はキャリアの長い、年を重ねた方だったのですが、彼はなんと70代!
同僚から「ボブじいさん」の愛称で呼ばれ、社内の有名人だったボブさん。たしか73歳くらいだったと記憶しています。社内最年長でした。25歳の私は、高齢で乗務していらっしゃる大先輩の存在に驚き、その衝撃を20年以上経過した今でも覚えています。
会社や国により「定年」がこんなに違う
▼定年制自体が「差別」?
私たち日本人にとっては定年制は当たり前ですが、アメリカ系エアラインでは、「定年」というような年齢制限がありません。
差別に対して敏感なアメリカでは、雇用における年齢制限禁止法で 、40歳以上の個人に対する、または年齢を理由とする「雇用に関する差別」が禁止されているのです。
毎年の健康診断、また保安要員の試験に合格すれば、若い世代と同様に乗務を継続しても問題はないということです。「年齢を理由にどうして辞めないといけないのか?」ということでしょうか。
▼日本は「30歳」だった
調べてみると、ある日系エアラインでは1977年まで、「30歳」が定年だったという驚きの事実があります。その後は「40歳」に引き上げられ、1979年には「60歳」まで乗務が可能になったようです。
冒頭で触れたとおり、日本の一般企業の定年は現在65歳。一方、航空会社の場合、同じ日本であっても、乗務員に関しては60歳を超えると地上勤務になる会社もあるようです。
▼海外ベース / 日本ベースで異なる
私のように、外資系エアライン勤務かつ海外ベース(居住)だと、その国の法律が適応されています。外資系エライン勤務でも、日本ベースで乗務しているCAは、日本の法律が適応されるようです。会社により定年の年齢も色々ですね。