SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第111回は欧州系航空会社で乗務11年目の垣花実里がお送りいたします。
欧州系航空会社乗務11年目の垣花です。長引くコロナ禍、CAはどんな風に過ごしているのだろうと頭をかすめる方もいるかもしれません。一現役CAである私が今、何を考え、何をしているか。コロナ禍の中でのリアルライフをお伝えします。
私の勤める欧州系航空会社は2020年3月下旬から日本への乗り入れをストップさせ、その数ヶ月後から大幅に減便して運行を開始しました。
ピーク時、欧州~東京間は週14便も運行をしていましたが、現在は週に3便という状況です。いかに便数が減ったかわかっていただけることでしょう。
結果、CAは余剰状態となり、希望者は無給休暇を取得することができます。
つぶしのきかない「しがないCA」
私は新卒でアジア系航空会社にCAとして入社し、その後現在の欧州系航空会社に転職しました。これまでずっとCAとして働いてきて、そんな自分に焦りや劣等感がありました。
これまで外資系航空会社でのCA経験しかない自分には、日本での他の仕事はとても務まらないと思い込んでいたのです。そんな焦りから、10年以上前から自己啓発(自分磨き)にハマりました。
コーチングを学んでそれを使ったカウンセリング業や、webライターの仕事に挑戦。愛用する化粧品会社から「出てみない?」とお声かけいただきコスメのPRの仕事にも携わることもありました。CA以外の仕事をするチャンスがあれば、迷わず飛び込み挑戦してきたのです。
ピンチはチャンス!? 副業CAを阻むPCの「壁」
そんな折に、航空業界はコロナ禍に見舞われました。昨年、フライトがゼロの状況になって真っ先に思ったことは、「ヤバい! 食べていけない! 私には何もできない!」でしたが、その一方、心のどこかでは「これはもしや、俗にいう“ピンチはチャンス”という状況なのでは!?」と思う自分もいました。10年以上も挑戦してきた自分磨きのおかげだと信じています。
「何かしたい! でも自分に何ができる!?」と 頭でっかちに考えすぎて身動きが取れなくなっていた時、知人に「暇なら手伝って!」と声をかけられて広告業界に足を踏み入れました。
CAにはPC(パソコン)操作が苦手な人が多く、「CAあるある」のひとつでもあります。客室乗務にはWord、Excel、PowerPointはまったく必要ありません。学生時代に触れたことはあっても社会人になってから実務で触れる必要はなかったのです。
広告の仕事を始めた私にまずぶち当たった壁も、PC操作でした。一つの操作をするために“Google先生”と向き合って数時間格闘する、なんてことはザラで、40代にして新卒状態にも満たない自分が心の底から情けなく、自宅でのリモート勤務中、自分への失望感で涙を流したこともありました。
もうすぐ広告の仕事を始めて丸1年になります。まだまだ一人前には程遠いものの、ふと見渡すと見える景色がちょっとずつ変わってきているのを感じます。