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増えた「選択肢」が見えていない? 日本の若者と話して気がついたこと (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 若い人の相談にのることが割と多い。いわゆる人生相談から転職相談までと範囲は広い。およそ20代前半から30代前半くらいまでの方だろうか。その上の世代からの相談は圧倒的に仕事のうえの相談で、仮に人生をテーマにしたとしても、若い世代を相手にするように真正面から「如何に生きるべきか」ではなく、少し横目で人生を眺める。 

 そもそも、ぼく自身、若い時から相談を受けることが多かったが、特に大企業のサラリーマンをやめてイタリアで生活するようになり、相談の数が多くなった。

 距離的に遠い人間なら話したことが周囲に漏れないだろう、と思っている節もありそうだ。もちろん、イタリアにいる人から相談されることもある。日本人の場合もあるし、イタリア人の場合もある。

 ここでは、特に日本にいる20代の人たちと話していて気がつくことを書いてみたい。

 今は昔よりも選択肢が増えたと言われる。就職ひとつとって、ぼくの20代のころとはまったく違う。日本の大企業の従業員になる優位性が圧倒的に減ったし、業界が階層別ではなく人材がフラットに移動するようになった。かつてであれば大規模製造業から流通にいく道はあっても、逆はとても難しかった。

 外資系企業が「はみ出し者」の就職先ではなくなった。どちらかといえば、現在は業種によっては外資系の方が優先される傾向にあるだろう。

 また修士課程修了者が研究職以外の立場で働ける。博士号をとった人の仕事の場がまだ少ないようだが、社会に出てから学び直すことが珍しいことではない。統計では日本のリカレント教育の普及が低いが、少なくともそのような道が選択肢としてあり、それが可視化されている世の中にはなってきた。

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