「リスキリング(reskilling)」という言葉をご存知だろうか? リスキリングは近年、経営者たちが注目するキーワードである。経営者・後継者が事業変革を行う前に導入したい取り組みであるため、今回は「事業承継におけるリスキングの重要性」について紹介する。
そもそもリスキリングがなぜ注目されているか、どのように取り組むべきかについても合わせて解説するのでぜひ参考にしていただきたい。
リスキリングとは?
「リスキリング」とは、職業能力の再開発、再教育である。企業が、市場の変化に合わせて事業を発展・変革するために、必要な新しいスキルや知識を社員に取得させる取り組みともいえる。
今まで社内教育として活用されていた「リカレント(recurrent)教育」は、新しいことを学ぶために一時的に「職を離れる」が、リスキリングは離職することはない。
日本では「リスキリング」の知名度はまだまだ低いが、グローバルで見ると徐々に高まりつつある。2019年1月から2021年8月現在までのGoogleでの検索数をみると、「reskilling(リスキリング)」というキーワードの検索数が伸びていることがわかる。
また、ダボス会議では2018年から3年にわたり『リスキリング革命(Reskilling Revolution)』というセッションが開催され、2020年には「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」と宣言されたことで、世界的に認知度が高まった。
日本では、経済産業省とみずほ情報総研が今年2月に共同で発表した資料(*1)(*2)が認知度アップの大きなきかっけとなったと私は考える。DX推進を目指した「デジタル人材政策」として「リスキリング」が立て続けに取り上げられ、経営者のあいだで注目度がいっきに高まったのだ。
この「リスキリング」が、日本国内でも注目されはじめている背景には以下の3つの環境の変化がある。
- 企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)を迫られている
- 新型コロナウイルスの流行により、働き方・ビジネスモデルに変化が生じた
- AIの発展により今までの仕事が機械にとって代わられはじめている
DXに必要な要素として、またコロナ時代に生き残れる企業になるための手段として、企業は社員のスキルアップやスキル取得に取り組まなければならないということだ。経営者たちの意識に危機感が生まれているのだ。
リスキリングにより得られる効果として期待されているものに、次の5つが挙げられる。