SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第109回はアジア系航空会社で乗務5年目の成瀬未帆がお送りいたします。
中華系エアラインに勤務し5年目になります。人によっては敬遠しがちな中国ですが、誰よりも情と優しさに溢れているのが中国の人々です。フライト中は、乗務員同士、「チンアイデァ(dear)」「宝宝(baby)」「姐姐(お姉ちゃん)」「妹妹(妹ちゃん)」とまるで家族かのようにお互いを呼び合います。また、よく「チーファン! チーファン!(ご飯食べな!)」と言われるのですが、早朝便の時は機長やパーサーがご飯を買ってきてくれたり、往復便の便間にも軽食を買ってきてくれることが日常茶飯事でした。
こんな温かい国民性の持ち主たちですが、入社当時は機内で毎回中国のお客様に驚かされてばかりでした! その驚愕の“事件”のうち、厳選の7つをご紹介します。
レッツスタート! 驚愕の珍事件7選
1.勝手にギャレーでお湯を入れちゃう
お客様のボーディング中はギャレー担当のクルーもキャビンに出てお客様のお出迎えをします。そのボーディング中、ギャレーに出入りして、MYボトルにお湯を入れている中国のお客様の姿をよく目にしました。中国ではよく白湯を飲み、大半のお客様がMYボトルを持参しているのです。
ギャレーの出入りは乗務員のみに許されており、もちろんその入り口には「crew only(乗務員のみ)」 の注意書きもありますがお構いなし。そして、中国のお客様はお湯の温度指定もとても細かいというのも特徴です。
2.搭載しているものは、もらいたい
機内の搭載品、例えば、毛布や枕、トランプ、ドリンクサービス用の缶ビールなどとにかく使えるもの・もらえる物は欲しいというのが中国の人たち。一人にお渡しすると周りの人も便乗してあっという間に搭載している物がなくなります。
3回に1回のペースで機内食を持って帰ろうとしている方がいらっしゃるほどです。ただし機内食には肉製品や果物が入っているため、持ち出すと税関で引っかかってしまうのでNGです。
3.一人4杯以上!?
機内食提供の際にはドリンクもお伺いしていますが、日本だと暗黙の了解で、「一人1杯」というのが常識と考えられているかと思います。しかし、中華系エアラインの機内では、1杯以上頼まれるお客様がよくいらっしゃいます。
中には多い時で一度に4杯。注ぐにも時間を要します。例えば日本―中国線はフライト時間がとても短いため、乗務員は毎回時間に追われるほどです。
4.ニオイなんて気にしない
中華系エアラインには、「麻辣鶏爪」を機内で食しているお客様がよくいらっしゃいます。麻辣鶏爪とは中国の国民的なおやつ。スパイシーなニオイも強烈な鶏の足です。袋を開けると瞬く間に機内にニオイが充満します。しかしそんな事はおかまいなし! 手袋をはめて皆さんよく召し上がっています。
5.トイレの使い方が分からない
中国国内線には、飛行機に初めてご搭乗されるお客様も多く見受けられます。
大体2~3人が使用した後にお手洗いの清掃を行うのですが、洪水でも起きたのかというくらいにビチョビチョになっている事が多いです。
国土の広い中国では未だに扉のないトイレを使用していたり、水洗トイレが普及されていない地域が沢山あります。そのため洋式の便座に股がってしまったり、水を流していなかったり、使用済みのトイレットペーパーが床に落ちていたり…。どこに行ってもピカピカな日本のお手洗いからは想像を絶する光景を沢山経験してきました。
また、鍵を掛けずに使用しているお客様も多く、お客様同士が笑い合っている光景もよく目にします。