ビジネストラブル撃退道

小山田圭吾氏の炎上は予想できた? 広告業界で高まる「身体検査」の重要性 (2/2ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 小山田氏に関していえば、本当にネット上の反応は予想できていました。何しろ、同氏に関する記事がこれまでにも登場するたびに、1994年、1995年の雑誌インタビューの内容が取沙汰され、毎回プチ炎上を繰り返していたのですから。

 テレビでは同氏のこの件については「音楽業界関係者の間ではよく知られていたが」といった言われ方をしていましたが、実際は「ネットオタク(2ちゃんねる、5ちゃんねるウオッチャー)の間ではよく知られていた」です。

 リスク承知で起用したなら、その人物を守るべき

 私は現在も広告・広報業界の仕事をしていますが、先日提出したのが「ネットで取沙汰されがちで炎上するかもしれない人リスト」です。

 過去のスキャンダルに加え、政治的な発言も含め、物議を醸す人物を約50人出しました。もちろん、過去の話だし、政治的信条が糾弾されるべきではないものの「とにかくこの人達は何らかの物議を醸すだろう」ということで出しました。

 私としては、本当にこの人物を起用したいのであれば起用すべきだが、リスクはあり得る。その時は毅然とした態度で「この方の起用が最善のプランだった」と言い、その人物を守るべきである、という主張をしました。

 妙なバッシングが発生する恐れはあるものの、それを上回るメリットをその人物がもたらすのであれば起用すべきです。そうした覚悟を企業に持ってもらうためにこのリストを作ったのです。

 小山田氏については、今後大企業が起用することはないでしょう。今回の一連の騒動は、ネットの炎上が実社会にすさまじき影響を与えることを示しました。今後はアニメキャラや漫画のキャラの使用が加速するでしょう。彼らは不祥事起こしませんから。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら

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