SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第108回は外資系航空会社で乗務10年目の田中絵梨奈がお送りいたします。
みなさん、テレワークなどで身体が鈍ってきていませんか? コロナ禍真っ只中ですが、オリンピック間近なので、CAのエピソードにスポーツの話を絡ませながらお話をしたいと思います。
さて、CAはお休みの日は何をしているか想像できますか? CAには、料理、パン教室、ジム、ヨガ、英会話と趣味に勤しむ人が大変多いです。というのも休みが不定期で、一般企業の友人と休みが合わないことが多々あるからです。
趣味を極めて本業へと発展させる方も少なくありません。CAの多くは、休みの日を積極的に充実させているのです。
「現役CA×チアリーダー」という二足のわらじ
その中で、私はCAとして乗務をしながらアメリカンフットボールのチアリーダーとして活動していました。実は、CAの中にはチアリーディング経験者が大変多いのです。
CAとチアリーダーの共通点は多いです。そのうち5つをご紹介しますので、「CAあるある」としてご覧ください。
1.どんな時でも笑顔…痛みに耐えてご挨拶
チアリーダーはどのような状況でも笑顔をキープしています。どんなに疲れていても笑顔を保っています。CAも同様です。普段もですが、自身の体調が万全でなくても笑顔を絶やさないようにしています。
以前、一緒に乗務をした同僚が温かい飲み物を作る際に、大きな火傷を負ってしまいました。それでも、降機されるお客様にちゃんとご挨拶をしたいと、痛みに耐えながらも笑顔で挨拶をしていた姿を見た時にはプロ意識を感じました。
チアは観客、CAはお客様に対し常に笑顔で接する。当たり前なことかもしれませんが、常に笑顔でいることは簡単なことではないと思います。
2.お互いに助け合う精神…何事も全力で
チアリーディングは団体競技です。以前に先輩から言われたことがあります。
「チアは一人だけ抜きん出て上手なチームより、一人一人が輝いてまとまっているチームでないといけない。だから、みんなで助け合いながら良いものを創り上げることが大切」
その言葉を聞いて、素敵な考えだなと思ったことを覚えています。フライトも一緒です。一本一本のフライトをより良いものにするために、常に同僚と声を掛け合いながらチームワークを発揮し、お客様に快適な空間と時間を提供しています。
以前、お客様とお話ししている中で、そのお客様がハネムーン中であることがわかりました。同乗する乗務員たちに話すと、満場一致で「何かお祝いをしたい」ということに。全員で歌いながらケーキでお祝いするとそのお客様が大変喜んでくださったのです。
このように、お客様にとって印象に残るようなフライトを演出する際にも私たちCAは力を合わせます。ちなみに、私の同僚は外国人CAなので、周りの乗客も注目するほどの派手なお祝いになる時があります(笑)
3.人に見られる緊張感 声のトーンまで細心の注意
チアダンスは、試合が行われる場所にもよりますが、東京ドームなどのスタジアムで行う場合は1万人超の観客の中パフォーマンスを行います。その中で、一人でも間違えれば大変目立ちます。したがって緊張感は並大抵なものではありません。
CAも機内では常に人に見られている緊張感を持って乗務をしております。なぜなら飛行機には多くのお客様を乗せているからです。国際線になると、少なくても200人、大型機になると800人の方が乗っています。
その中で一挙手一投足を見られることもあるのです。髪型やメイクはもちろん、話し方や声のトーンを大事にしながら、ちょっとした言動がお客様の目や耳に触れてしまうので、不快な気分にさせないよう緊張感を持って乗務しています。
4.長時間動きまわるための体力 嵐の日も…
チアリーダーは2時間の試合中、ずっと立ち続け踊り続けます。炎天下の日も嵐の日も関係ありません。
CAも同様です。天候が悪い日のフライトですと機体が揺れることも多いので、足元は不安定です。飲み物を注ぐ際にはいつもより集中して腕に力を入れています。ある意味とても体幹が鍛えられます(笑)