ローカリゼーションマップ

“冬の時代”くぐり抜けた日本のサッカーファンたちに「ごめんなさい」 (3/3ページ)

 要は10数年ほどで日本のサッカー人気はゼロから急伸した。そして五輪銅メダルの後、1970年代から1980年代は「冬の時代」となったらしい。日本リーグの試合の観客平均数が1000人台で続く期間もあり、ワールドカップはもとより五輪にも出場できない時期が長くあった。

 なるほど、前述したように、だから冬の時代のサッカー歴や観戦歴が春を迎えて誇らしかったのだ。

 実はぼく自身も小学校のときはサッカー少年だった。だが、中学の部活で先輩の「横暴な政治」に嫌気がさし、同時にサッカーにも興味を失っていた。

 それを長く個人的な状況による趣向の変化だとぼくは理解していたのだ。それが実は「サッカー不人気」という流行に乗っかっていたのである。

 そのことに本を読んで気がついたのだ。

 自分が流行にのろうとかのらないと考えていたのではなく、なんとなく自らの道を選択したのだと思っていたが、大きな水の流れに自然とついていったことになる。

 とすると、1990年代に長く隠れファンであったことを自慢していた人たちは、やはりそれなりに自慢してしかるべきで、彼らをぼくは敬意をもって賞賛するのが良かったのかもしれない。

 今となっては遅すぎるが、彼らにとても申し訳ないことをした。

 「ごめんなさい」

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
Instagram:@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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