働き方

緊急事態宣言1年 テレワーク、中小でも拡大

 新型コロナウイルスの感染拡大によって働き方も変わった。緊急事態宣言を機に、在宅勤務やテレワークが試行錯誤で始まったが、1年が経過し、中小企業にも広がってきている。

 「小売りなど生活に密着した分野が多く、対面での業務を重視するが、オンラインの効果も大きい。両方をうまく組み合わせることが重要だ」。伊藤忠商事で人事部門を管掌する小林文彦副社長は働き方の変化を実感する。

 この1年で大企業の多くがテレワークを取り入れたが、中小企業でも導入が急ピッチだ。東京商工会議所が1月下旬から2月上旬にかけて実施した調査によると、会委員企業のテレワーク実施率は66.2%と、昨年3月の26.0%から大幅に上昇した。

 当初、テレワークは感染防止の緊急対応策の側面が強かった。だが、昨夏に日立製作所や富士通などが在宅勤務を基本とした勤務制度に移行。在宅勤務のための手当や一時金を支給したり、通勤定期を廃止したりする企業も増えている。出社が原則ではなくなったことで、オフィス縮小の動きも出ており、5月に新本社に移転する丸紅は当初計画より座席数を3割削減する。一方で、テレワークはコミュニケーション不足による孤独感や連帯感の希薄化や、長時間勤務などのデメリットも指摘されている。この1年で大きく進んだ働き方改革だが、最適な制度に向け各社の模索が続いている。(平尾孝)

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