最強のコミュニケーション術

年度初めのツケが招く顛末 「仕事の抱え込み」を心理的にやめさせるテクニック (1/3ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

 伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

 第27回は「仕事を抱え込まない」がテーマです。真面目な人、完璧主義な人、優秀な人ほど「仕事の抱え込み」をしがちです。何かと忙しくなる新年度が始まったばかりの時期は特にその傾向が強くなりやすい時期と言えるでしょう。仕事を抱えてしまう人が周りにいる場合、どのように声がけをしていけばいいのか。また、自分が仕事を抱え込む傾向がある人は、どうすればいいのか。タイプ別にサポートするためのコミュニケーションをご紹介します。

抱え込みをさせない3つのポイント

 「自分でやった方が早い」「これくらいなら、少し無理をすればできる」「何となく他の人に頼みにくい」などの理由で仕事を抱え込んでしまう人たち。優秀な人の場合、仕事を抱え込んでいることを本人も周りも気づきにくいという特徴があります

 努力は素晴らしいことですが、無理をしている状況が長く続くとデメリットが多くなります。まずは、頑張り過ぎることが決して良いことではないと理解してもらいましょう。具体的には下記の3点を話してみてください

「抱え込みをさせないコミュニケーション」とは

1.心身への影響を認識させる 「周囲も大変です」

 負荷がかかり過ぎる状態が長く続くと、心身に何らかの影響が出ます。「そんなことはない」と思い込んでいる人もいますので、座り過ぎによる腰痛、目を酷使することによる偏頭痛、睡眠の質の低下、余暇でリフレッシュできないことの弊害など、具体的な事例を挙げながら「人ごとではない」と思ってもらうところを目指します。

 年度末、新年度の頑張り過ぎは、5月病など心の不調の原因にもなります。今は大丈夫でも、蓄積されていった場合のリスクを伝えましょう。責任感の強い人や自分を犠牲にしがちな人には「心身の不調が出てしまったときにカバーする人たちも大変」といった切り口から話すのもいいでしょう。

2.機会損失を認識させる インプットも必要

 ビジネス環境は常に変化しています。新型コロナウイルスの登場では、大きなシフト(変化)を余儀なくされた業界もありました。こういった変化に備えるには、ある程度の余力が必要です。また変化に対応していくには、学びの時間も必要になります。

 仕事を抱え込み、常に手一杯な状態では、何かあった場合に対応が遅れがちです。トラブル時に信用をなくしてしまう可能性、学びの機会を損失している可能性について話してみましょう。

3.周囲への影響を認識させる 抱え込みが招く顛末

 職場では、無理をして頑張れる人ばかりではありません。しかし、仕事を抱え込んでも何とか乗り切ってしまう人がいると、それがあたりまえのような雰囲気になってしまうこともあります。「自分も無理をしなくては…」と考えて、心や身体の調子を崩してしまう人が出てくるようでは本末転倒です。適切な人数で、適切な量の仕事に取り組み、継続的なパフォーマンスを上げていくためにも、抱え込みはやめてほしいと伝えてみてください。

上司や同僚ができる、負担軽減のためのタイプ別サポート

 最初に話してほしいのは上記の3点です。しかし、仕事のやり方を急に変えるのは難しいでしょうし、すでに抱えてしまっている仕事もあるかと思います。少しずつ負担を軽くしていくための「タイプ別サポート例」を見ておきましょう。

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