三井不動産などの企業グループが東京五輪・パラリンピックの選手村を改修して整備する分譲マンションをめぐり、五輪の延期で入居が1年程度遅れることで生じる費用の補償を求め、購入者24人が東京地裁に民事調停を申し立てたことが2日、分かった。1日付。
購入者側代理人の轟木博信弁護士によると、引き渡しの期日は令和5年3月だったが、新型コロナウイルス禍で昨年3月に五輪開催の1年延期が決定。企業グループ側は同6月、購入者に引き渡しも1年ほど遅れると通知したが、「損害を補償する法的責任はない」として説明会などを開かず、謝罪もなかった。
契約書には「売り主側の故意・過失ではない事由、または予見できない事由によって引き渡しが遅れる場合は(購入者が)承諾しなければならない」という条項があるものの、遅延に伴う損害賠償の免責については記載がないという。
轟木氏は「これまで企業グループ側は購入者に適切な説明を一切しておらず、今回の調停も不調になる可能性が高い。企業の社会的責任や説明責任を果たしてほしい」と話している。
企業グループ側の広報を担当する三井不動産は「申立書が届き次第、事実関係を確認して適切に対応したい」とコメントした。