元受付嬢CEOの視線

最新の受付システムもそこはカバーできない フリーアドレス化が問う「常識」 (1/3ページ)

橋本真里子
橋本真里子

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、様々な企業が取り入れた制度といえば「テレワーク」ですね。そしてテレワークの次に取り入れた・取り入れを検討している企業が多いのが、席を固定しない「フリーアドレス」制ではないでしょうか。

 受付業務のコンサルティングなどもおこなう弊社ですが、お問い合わせいただく企業様から多いのが「フリーアドレス化するにあたり、来客対応のフローを相談したい」といった内容なのです。

 今回は、元受付嬢として、そして受付業務の課題に取り組む企業の代表として、企業がフリーアドレスを実現にする上で注意したいこと、押さえたいポイントについてお話しできればと思います。

「増床しました」 テレワーク拡大の裏で起こっていたこと

 コロナにより働き方が大きく変化したことで、「オフィス不要論」なんていうワードもよく耳にしました。確かに小規模のスタートアップが完全リモートに振り切ったり、シェアオフィスに移転し、メインの働き方をテレワークとするなど、オフィスを“スリム化”した企業も少なくないと思います。しかし、そんな中でも「オフィスを拡張しました」「増床しました」という話も耳にすることがありました。

 なぜオフィスを拡張する必要があるのでしょうか? それはソーシャルディスタンスを確保するためです。

 コロナ禍であっても、テレワークに不慣れな企業やテレワークでは業務効率が低下すると判断した企業では、社員を出勤させています。しかし、出社する人数が減らない限り、社員一人ひとりに与えられるスペースは変わりません。社員間のソーシャルディスタンスを確保するためには、オフィス面積自体を広げるしかないのです。

 こういったことが背景で、オフィスの解約や縮小があった一方、実は増床やリノベーションといったニーズも広がり、オフィスビルを管理する企業からは、空室状況は「プラマイゼロ」だったということです。オフィス縮小・解約ばかりが取り上げられていたので、この話を聞いたときは驚きましたが、非常に納得感がありました。

 そして、増床やリノベーションを機にフリーアドレスを取り入れる企業が非常に多いようです。

フリーアドレス化を阻害するもの

 コロナ禍では、社員を交代で出勤させている企業も多いようです。全員分の席を確保しなくて済むフリーアドレスは、その点でも今のニーズに沿っています。しかし、そのフリーアドレス導入を阻害しているものがあります。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus