上場企業の粉飾決算で損失を受けた株主約200人が、株の売り出しで中心的役割を担う主幹事のみずほ証券に損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論が17日、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で開かれた。株主側は「みずほ証券は賠償責任を負うべきだ」と主張。みずほ証券側は株主側の上告を棄却するよう求め、結審した。判決は12月22日。
2審の結論変更に必要な弁論が開かれたことで、みずほ証券の責任を否定した平成30年3月の東京高裁判決を見直す可能性がある。
金融商品取引法は、虚偽記載のある書類で株を募集した証券会社は賠償責任を負うと定めているが、虚偽と知らなかった場合などは免責される規定もある。
この日の弁論で株主側は、みずほ証券が「会計監査の信頼性の疑義を払拭するだけの調査をしておらず免責されない」と主張。みずほ証券側は、調査は実施しており「免責要件は満たされる」と述べた。
1審東京地裁は、粉飾を指摘する投書を受けて追加調査する義務があったのに不十分だったとして、みずほ証券に賠償責任があると判断、約3000万円の支払いを命じた。2審は「取引先への販売実績を調べるなどしており、通常求められる注意義務は尽くした」として1審判決を取り消した。
1、2審判決によると、半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」は21年11月に東証マザーズに上場したが、売り上げの97%が架空だったことが発覚、22年6月に上場廃止となった。