働き方

きょうから観覧車でリモートワーク 非日常で働く「ワーケーション」の狙いは (2/2ページ)

SankeiBiz編集部
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 ワーケーション普及には課題も

 「新しい旅行や働き方のスタイルとして普及に取り組んでいきたい。そのための整備などを支援する」。7月に開催された政府の「観光戦略実行推進会議」で、当時の菅義偉官房長官はワーケーションについて、こう強調した。コロナ禍で観光関連産業が大きな打撃を受ける中、政府もワーケーションの普及に取り組んでいる。

 ワーケーションを促進する動きは自治体にも広がっている。感染拡大により観光客の減少にあえぐ栃木県日光市では、民間企業と共同でワーケーションの実証実験を実施。山々と美しい湖に囲まれた参加者は活発に意見を交わし、「リフレッシュでき、仕事のアイデアも浮かぶ」と肯定的な意見が寄せられた。報道によると、日光市はワーケーションを推進し、落ち込みが激しい観光業界の復活への起爆剤としたい考えだという。

 ただ、田中教授は「ワーケーションは労務管理上難しいという側面もある」と指摘。「労働基準法により企業側は労働者に対し『就業場所の明示』が必要で、普及のためにはガイドラインを含めた国の後押しが必要となるだろう」とみる。

 ワーケーションを「ただの遊びではないか」と思う人もいるようで、導入に踏み出せない企業も多いとされる。田中教授は今後の企業側の考え方について「家族とのコミュニケーションや施設利用によるリラックス効果などで従業員が総合的にリフレッシュし、それが仕事のパフォーマンス向上につながるという目線で取り組むことで、普及へとつながるのではないか」との認識を示す。

 コロナ禍によって働き方が大きく変わりつつある今、ワーケーションの普及には、働き方に対する企業側の柔軟な姿勢も求められている。

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