SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第86回はアジア系航空会社に勤め乗務5年目の長谷川夕菜がお送りいたします。
年明けから始まったコロナとの戦い。夏になれば落ち着くかと思いましたが、まだまだコロナ禍は続きますね。「お家でできることはお家で」という流れが定着してきています。
このような中で、なかなか旅行にはまだ行きづらいですよね…。日本からの入国を制限している国もまだ多いです。当然、飛行機を利用するのも躊躇するかと思います。密閉された空間、不特定多数の人が密集する場所。飛行機にはそんなイメージがあるのではないでしょうか?
そんな逆境にあえぐ航空会社が、お客様に戻ってきてもらうために行っている取り組みの一例をご紹介します。
ウィズコロナでも旅行に行く時代 航空会社の取り組み
こんなご時世でも飛行機に乗ってくださるお客様に、安心して、そして快適に過ごして頂きたいとの思いで航空会社はいろんな工夫をしています。
1. 非接触を心掛けたチェックイン
空港のグランドスタッフは各自マスクをし、さらにフェイスシールド着用またはビニールカーテンでカウンターを覆って接客しています。チェックインの列に並んでいただく時はソーシャルディスタンスを保つように誘導するスタッフがいます。また各所にアルコール消毒液を設置し、消毒をお願いしています。自動チェックイン機を利用し、荷物を預けずに行くと、限りなく非接触で搭乗ゲートに向かうこともできます。
2. 搭乗は少人数ずつ
搭乗ゲートでは、10~20名のグループを何回かに分け搭乗させることで密を避けています。もちろんその中でも間隔を開けて搭乗します。通常より少し時間がかかるので、早めのゲート集合を推奨しています。アナウンスでマスク着用の要請をし、体調が優れない方は申し出るよう呼びかけ、安心できる状態での出発に注力しています。
3. 機内でもソーシャルディスタンス
航空会社や旅客数によっては、前後左右でも間隔を開けて座るようにして機内でも可能な限りソーシャルディスタンスを設けています。
機内ではCAがお手伝いやサービスする際、CA側もマスクと手袋をし、密を避けるため通常時に比べて控えめに、必要以上のことはしない、を心がけています。
難しいのが手荷物の収納です。今は満席になることがないので、広い足元スペースを利用して、なるべくご自身で収納して頂いています。CAがお手伝いする場合もありますが、こまめな手洗いとアルコール消毒を徹底していますので、安心してくださいね。
4. サービスもなるべくシンプルに、スマートに
ドリンクサービスは全て紙パックに変更し、トレーからお客様自身で取って頂いています。また機内アナウンスを有効活用して、お客様に直接話しかける頻度を少なくする工夫もしています。(機内サービスはその時の感染状況により流動的に変更されます。)
5. 機内全体を消毒!
機内の空気は3分に1回、全て入れ替わっているので、エアロゾル感染の可能性は低いと言われています。では機内で一番感染リスクのある所はどこでしょうか?
それはトイレです。トイレのドアノブ、便座、シンクなど、多くの人が使用する場所なので特に徹底した消毒が必要です。CAはお客様がトイレを使用するたびに、アルコール消毒をしています。
もちろん機内全体の清掃も丁寧に。駐機中、客室、地上スタッフ皆で力を合わせて機内清掃と消毒をしています。
接触を減らしても温かみのあるサービス
今はウィズコロナの時期で飛行機利用のお客様も少ないです。空港でも機内でもゆとりがあり、ソーシャルディスタンスを保って旅行することができます。前述の通り、航空会社は感染を防ぐために色んな工夫をしていますので、安心して利用できると思います。(会社によって多少やり方は変わると思いますが、コロナ対策は義務なので各社徹底しています。)
ただ接触を避けるだけでは無機質な温かみのないフライトになってしまうので、こんな時でも利用して頂けたことへの感謝の気持ちを、色んな所で伝えるよう工夫しています。
例えば各空港で手作りのボードでお出迎え。飛行機の搭乗橋内にもメッセージボード、機内のシートにもメッセージカードをセットし、出発する際に窓から外を見ると地上スタッフが一列に並んでお見送り。直接話すことを極力少なくする一方、文字で感謝の気持ちを伝えています。
地上スタッフ、CA、パイロットともにマスクをしていて表情が見えづらいかもしれませんが、サービス精神は失っていません! この状況下でもできることを必死に考え、実践しています。お客様も、今だから感じる温かさを体験することができるでしょう。