新型コロナウイルス感染防止のため人との接触を減らすよう求められる中、企業では在宅勤務をはじめとするテレワークが加速している。主要企業アンケートに回答した全119社が導入済みと回答。緊急事態宣言の解除後も継続している企業が大半だが、運用上の課題についてもさまざまな声が集まった。感染収束が見込めず、「ウィズコロナ(コロナとの共存)」の長期化が予想され、各社は、テレワークによる働き方改革と生産性向上の両立に知恵を絞っている。
導入や拡大の時期を聞くと、新型コロナ禍が契機だったとした企業は26・1%にとどまり、70%を超す企業はコロナ禍前から取り組んでいた。
「オフィス出勤者7割削減」を求めた政府の緊急事態宣言は解除されたが、テレワークを「これまで通り続ける」との答えが75・6%に達し、「規模を縮小して続ける」(10・9%)を合わせると、大半は一定程度、テレワークを続けるようだ。
ただ、円滑な運用に向けては苦労が多いようだ。
導入や拡大の課題を複数回答で尋ねると、「従業員の意識」が43社(37・1%)と最多に。「社内システムの構築」(40社、34・5%)、「ハンコの活用」(36社、31・0%)も多かったが、企業は環境整備と並んで、従業員の意識改革を求めているようだ。
実際、課題の具体例として自由記述で「社内コミュニケーション」を挙げた企業が24社。「成績評価」が難しいと回答した企業も11社あった。
一方で、「新しい働き方を定める」(運輸)、「働く場所を目的に応じて使い分け、生産性・創造性・個の充実を図る」(食料品)など、テレワークの生産性を向上させ、働き方改革につなげようとする企業が増えているようだ。