ビジネストラブル撃退道

コロナ禍で転職できず焦り? 本当に今の会社を辞めるべきか問い直せ (2/2ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 「親友」はカネが絡むとシビアに

 だから、今回コロナのせいで転職できなかったとしても、本当にその転職が必要だったのかを考える良い機会だと思った方が良い。そしてむしろ今いる会社の良い点を洗い出してはいかがか。それでも辞めたいのであれば、転職エージェントに登録してみればいい。なお、「友人が会社を立ち上げたからそれに乗る」については、一瞬考えた方がいい。というのも、これまでは金銭面のしがらみがない関係だったがゆえの良い関係だったのが、カネが絡むと途端に人間関係がシビアになってくるのである。

 「オレらは一生の親友だぜ!」なーんてやっていた2人の関係が完全にぶっ壊れてしまう恐れがあるのだ。そうした会社にジョインするにしても「そこまで仲が良くないけど気の合うヤツ」ぐらいの関係性であれば止めないが「親友」は本当にやめた方がいい。

 転職をしたい会社員に対しては慎重に考えるよう伝える私だが、一方「辞めちゃえ辞めちゃえ!」と大抵の場合煽るのが「起業・独立」をしたい人々である。こうした人々は現状に対してとんでもなく不満を抱いているのである。

「給料安過ぎなんだよボケ! オレ様が稼いだカネが無能どもの給料に回ってる!」

「周りにバカしかいねぇ! なんでゴマすり野郎ばかりが出世するんだ!」

「とにかく仕事のやり方が古臭いんだよ! 客の言うことにすべて『検討します』と言って持ち帰っては延々会議するやり口、もう耐えきれん! できないものはその場でできない、って言えばいいんだよ!」

「なんで定時がいちいち決まっていて、毎朝朝礼やらなくちゃいけねぇんだよ!」

 こんな感じで、とにかく文句が出るわ出るわ、という状態なのだ。それでいて「オレが独立したら今の年収の3倍になる自信ありますよ!」なんてことまで言えてしまう。こういう人物であれば、もう辞めて起業・独立すべきである。

 多分、「起業・独立」ではなく「転職」を考える人というのは、「不満値」というのがあるのだとすればそれが小さい人々なのではないだろうか。そして、給料にしても独立したい人物のように「3倍~10倍は欲しい」といったことは言わず、「今500万円なので700万円は欲しいですね」とつましい欲望を語る。

 幸いなことに今の時代「転職35歳限界説」とやらはなくなった。よって、コロナのせいで転職ができなかった…と嘆く人は、今は雌伏の時と考え、嘆くのではなく今の会社でできることを最大限やってみてはいかがか。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら

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