過疎地で安定した雇用の増加を目指す新法「特定地域づくり事業推進法」が6月4日に施行される。地域の若者や移住者らを雇い、地元事業者に派遣する事業協同組合の設立を後押しする内容。運営費の半額を国と地元市町村で補助する。
農業や建設、観光業など過疎地の事業者は、季節によって繁閑の差が大きく、新規雇用に踏み出しにくい。そこで新たに設立する「特定地域づくり事業協同組合」が若者らを雇って給与を支給。繁忙期を迎えた職場で働いてもらう。春から秋は農業法人や宿泊施設、冬はスキー場といった働き方が想定される。
組合が雇用者1人当たり年間400万円程度の給与が支払えるよう、国と市町村が運営費を4分の1ずつ補助。残る2分の1は、人材派遣を受けた事業者が支払う料金で賄う。
組合は地元の農協や漁協、商工会議所などが出資して設立する。財政支援を受けるには、市町村と連携して雇用人数を含む事業計画を練り、都道府県の認定を得る必要がある。所管する総務省は2020年度に約80組合の設立を見込んでいる。
新法は昨年11月、議員立法で成立した。働き口を確保することで、過疎地の若者が都市部に流出するのを防ぐとともに、移住者を増やすのが狙い。任期を終えた「地域おこし協力隊」の隊員が組合で働き、定住する効果も期待されている。